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ピッチャー「ストーリーバード」

タイトル(よみ)ぴっちゃー「すとーりーばーど」
作家カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ Kati Tuominen-Niittyla
制作年1993年
員数4
解説 フィンランドの近代陶芸は、モリスの思想を引き継ぐアルフレッド・ウィリアム・フィンチによって方向付けられた。さらにアラビア製陶所がアート・ディレクターとして1932年にクルト・エクホルムを迎えるに至り、工場製産と個人作家的制作活動の両立態勢が整えられ、量産向けのデザインと個人作家的一品制作を両立させるこの国の陶芸家のスタイルが確立する。カティ・トゥオミネン=ニイットゥラは、1980年アラビア製陶所に所属して以来、同社の製品デザインを手がけながら、個人作家としてこの国を代表する地位を確立した作家である。
 本作品は、まず人体をモデルにした様々なスケッチのなかから生まれた3つのフォルムを選んで粘土での造形を試みプロトタイプ(当館所蔵)を制作。プロトタイプ完成後更に9年を経た1993年に"Storybirds"シリーズは誕生した。Oliverはワインピッチャー、Olgaは水差し、Ollieはミルクやソース入れ、Omarはオイル等少量の液体の入れ物として提案されているが、むしろ視覚的な魅力によって人々の支持を得ている作例である。あらかじめ機能が想定された上で生まれたのではなく、純粋な造形思考のなかで結実したフォルムに機能を融合させることによって、アラビア社の90年代を代表するこの製品が生み出されたのである。
 本作品は、量産製品のデザインと個人作家的陶芸制作の両立を特徴とするフィンランドの現代陶芸における、量産製品への作家の姿勢と制作プロセスを端的に表す優れた作例である。

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