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グリーン・オブジェクト

タイトル(よみ)ぐりーん・おぶじぇくと 
作品名(原題)Green Object
作家カレン・ベンニッケ Karen Bennicke
制作年1994年
寸法81.0×41.0×20.0cm
員数1
解説 デンマーク陶芸はトルヴァルド・ヴィンデスボルの芸術的影響下に、近隣のフランス、ドイツに多くを学びながら近代化の幕が開かれる。1934年、個人作家的陶芸のパイオニア、ゲルトルド・ヴァーセゴーアは、自分の工房を設立し、シンプルな器形とストイックな線と色彩による極めて洗練された作品を世に問い、独立した陶芸家の道を拓いた。続くボディル・マンツは磁器の表現によって現代デンマーク陶芸の第一人者であると目されるが、もう一方の極、ストーンウェアによって極めて独創的な表現を拓いたのがカレン・ベンニッケである。
 初期には専ら実用陶磁器の制作に従事した彼女だが、1979年頃より主にタタラ成形による造形物に取り組み始める。さらに80年代後半より、あらかじめ下絵を用意せず、タタラを使いながらも手捻りによって、「形がどのような立ち上がりかたをするか」を意識した制作を開始する。このような意識転換を経て、堅牢なフォルムに化粧土を施し、形と色が一体となって重厚さの中にも知的な軽妙さを帯びる陶の造形を展開するに至った。
 抑制されたフォルムと単色の化粧土のテクスチャーが相まって、独特の詩情を醸し出す本作品は、厳然とした存在感のなかにも一種都会的なユーモアを感じさせる秀逸な一作であり、デンマーク国内のみならず、北欧の陶芸状況のなかでも重要な位置を占めるベンニッケの代表作である。

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