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陶方壺

タイトル(よみ)とうほうこ
作家河本五郎 Kawamoto Goro
制作年1966
寸法24.0×33.0×31.5cm
員数1
解説 河本五郎は瀬戸の製陶業(染付和食器)柴田重五郎の次男に生まれ、瀬戸窯業学校を経て、京都国立陶磁器試験所意匠部の伝習生となるが、昭和15年、時局は彼を中国戦線に赴かせることになる。5年間中国全土を転戦し、さらに1年余の捕虜生活の後に復員。やきものへの想い止みがたく帰国したという。
 昭和25年に河本礫亭の養嫡子に迎えられるが、この河本家は染付磁器の名門であり、礫亭は名手として聞こえていた。しかしもとより気概の人とされる彼は、そこに安住せず、過去の陶芸に反発してクラフト運動に関わっている。自ら「過激な陶芸家」という彼は「人民に奉仕する真の陶芸を」などと唱え、やがて使用者に媚びを売り平均的な製品を求めるクラフト運動にも疑問を感じるようになる。こうして量産のための轆轤も否定し、昭和28年には磁器から陶器に転じるが、現在ならともかく当時としては轆轤を否定するなど考えられないことであり、大いに周囲の反感を買って「反骨の陶芸家」と目されることになる。
 一つ所に止まることのない彼は、昭和45年頃から、かつて否定した磁器の制作を始め「磁器の色絵、染め付け、時に陶器の土ものと、恣意のままの作陶」を追求し、その両面で独自の表現を達成した。
 堂々とした存在感を示す方形の本作品は、河本の陶器の仕事の代表的作例である。

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