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沈黙

タイトル(よみ)ちんもく
作品名(原題)Silence
作家カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ Kati Tuominen-Niittyla
制作年2000年
寸法39.0×59.0×59.0cm
員数1
解説 フィンランドの近代陶芸は、W.モリスの思想を引き継ぐアルフレッド・ウィリアム・フィンチによって方向付けられた。さらにアラビア製陶所がアート・ディレクターとして1932年にクルト・エクホルムを迎えるに至り、工場製産と個人作家的制作活動の両立態勢が整えられ、量産向けのデザインと個人作家的一品制作を両立させるこの国の陶芸家のスタイルが確立する。カティ・トゥオミネン=ニイットゥラは、1980年アラビア製陶所に所属して以来、同社の製品デザインを手がけながら、個人作家としてこの国を代表する地位を確立した作家である。
 本作品《沈黙》(Silence)は2000年春、「水」をテーマに、《雨の中で》(In the Rain)と対を成すように同時に制作されたものである。同年夏には、屋外の洞窟で実際に水を取入れた展示が行われたこともある。洞くつには常に岩間に水が流れており、《沈黙》はこの流水に設置され、作品の背後の壁にも水が流れていた。対する《雨の中で》には水滴が垂れ、作品の微妙な凹面に水たまりができるように設置され、水を得た陶の色味が強調された。また《沈黙》は、周囲に同質の陶でつくられた石のパーツが添えられ、環境に溶け込ませた展示が行われた。
 フィンランドの厳しい風土のなかで醸成された美意識が、十全に表れた作例である。

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