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Tomorrow

タイトル(よみ)とぅもろー
作家結城美栄子 Yuki Mieko
制作年1988年
寸法78.0×35.5×21.0cm
員数1
解説 結城は7歳から18歳までを外交官の父、画家の母と共に外国(スウェーデン・スリランカ・トルコ・イギリス・アメリカ)で過ごす。帰国後、俳優座養成所(13期生)を経て劇団「雲」に入団。俳優の道を歩み始めるも、1984年から陶人形の制作を開始し、現在に至る。
 紙粘土の人形制作をきっかけとする結城が、陶芸を学んだのは陶芸教室でお茶碗の作り方を学んだ6ヶ月のみである。「人間」と「人間の表情」が好きでその表現を追求する結城は、始めから「人間」を制作対象とし、碗や器には関心を向けなかった。
 結城の陶人形は、芝居をテーマにしたものや、外国で暮らした幼い頃の体験からイメージされるものが中心となっている。作品では演劇活動においては昇華しきれない、彼女の人間に対しての強い思い入れが創作の源となって表現される。そこには演劇活動とも共通して、彼女の鋭い人間観察が土台となった豊かな表情がある。「内面があるもの、怖くて哀しいもの、どろどろしたもの、わけのわからないもの」に心が動くという彼女の作品には、見事にそれが表れて独特な空気を生み出している。本作品の少年は結城の息子をモデルとしている。明日を想うサーカスのメンバーのその少年の姿にも、そのような結城の世界が溢れている。黒一色の作品ながら、その表面を磨いたり土ならではの質感の変化が効果的に用いられ、作家の世界が見事に少年に投影されている。

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