移り行く散歩のかたちか

タイトル(よみ)うつりゆくさんぽのかたちか
作家滝口和男 Takiguchi Kazuo
制作年1988年
解説 滝口和男は1987年京都市立大学を中退、その後78年に日展初出品、初入選。85年日本陶芸展では外務大臣賞、89年第10回日本陶芸展では、秩父宮賜杯グランプリを受賞し、板おこしによるオブジェ作品で注目を浴びる。また旺盛なうつわの制作も知られている。京都五条坂の割烹食器問屋に生まれ育った滝口の周辺のうつわとは、厳格な世界にあり、ぎりぎりの職人技であった。厳格な規範の割烹食器を、顔をあげることなくひたすら轆轤に向かってつくり続けてきた職人たちへのオマージュだろうか。滝口は機械で真円のうつわをつくることができてしまう現代において、サイズや規範に合わせたうつわをつくることではなく、作り手の人柄がストレートに反映されやすい掌の上で手ひねりの方法で制作をする。色絵による絵付けは呪縛から解き放たれたかのように遊び心が満載。そのうつわはあの厳格な規範の世界から、洒脱の精神を持ち合わせた作家自身が何よりも解放されていることを感じられ、タイトルといい、絵付けといい心憎いばかりである。

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