K-2000-9

作家小川待子 Ogawa Machiko
制作年2000年
寸法41.5×29.8×29.0cm
員数1
解説 小川待子は東京芸大を卒業後、パリ工芸学校で陶芸を学んだ。その後渡ったアフリカでの作陶体験が自分の作品に大きな刺激を与え、それが創作活動の原点となったと彼女はいう。それは、成形面で、小川が焼き物作りの原初的な姿とする現地の住民から型による叩き造りの成形法を教授されたこと、表現面で、その地に対し「荒漠として、しかも乾いていて、むしろ寂寞としたものがある」と感じたことを要因として挙げている。
小川の作品に接してまず感じるのは、それらが「土器」であるという事実である。作家本人も器をテーマとし、「うつわというかたちは/何千年もの時間を宿している/人はさまざまなイメージを/うつわに託してきた/うつわは、そんな人類の長い営みを/内包していると思う」、そして「土と火の根源的な力が/私のうちにつくるかたち/かたちはすでに在る/それを私は探しあて/ゆっくり時間をかけて/掘り出してやる」と語る。つまり小川待子は、土の本質に根ざした器を制作しているのだ。
 古代の尖底土器を連想させる細長い器を3本接合した今回の作品は、以前より構想していたものである。水のように内面に満たされたフリット釉は、濃淡の相違はあっても、どれもが水色をしており、中には気泡が浮いているものもある。でこぼこした肌合いと尖った底、土の力強さを感じさせる存在感が、古代の遺物を想起させる。水を意識した内面を持つやきもののイメージが、乾燥した砂漠の空気を感じさせるのは、アフリカでの作陶体験が大きく反映していると言える。

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