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小鉢

タイトル(よみ)こばち
作家前川俊一 Maekawa Shunichi
制作年1999年
寸法6.8×11.2×11.2cm
解説 前川俊一は京都の手塚玉堂の陶房で茶道具を中心に染め付けを4年間修行した後、一時スウェーデン滞在する。そこで彼は北欧における暮らしのなかの実用陶磁器のあり方に触発され、陶芸家としての独立を志して帰国。京都府立陶工専修職業訓練校にて轆轤成形を身につけ、1980年に独立して以来、公募展や団体には参加せず、専ら個展活動によって手作りによる器の制作を続けている。 初期は、ペルシア陶器の生き生きとしたおおらかな線を追い求めた時期もあったが、1985年の個展を機に模倣を脱し、自分らしさを全面に打ち出す画風に転換する。銀彩は1987年からはじめる。トルコ青をはじめ黄色、萌葱色など様々な地色に銀彩を試みてきたが、1998年には独立時より追究してきた乳白釉が完成し、乳白の地に銀彩でおおらかな模様が描かれた器のシリーズを発表した。それらの器の寸法や用途は常に「今の暮らし」を尺度とされ、さりげないユーモアやファンタジーが織り込まれている。
 本作品は、前川が銀彩に取り組んで10年目の成果といえる乳白地に銀彩の器である。地の色と銀彩の絵が響きあって一体となる組み合わせであるという。独立時より日常生活で毎日使ってもらえるものをつくることを信条にしてきた彼らしい成果といえる。彼はまた「形は道具として自然体であること」、また「絵は器物の形に寄り添って、対話しながら即興的にリズムに乗って付ける」という。

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