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曙光

タイトル(よみ)しょこう
作家加藤幸兵衛 Kato Kobei Ⅶ
制作年1975年
寸法47.0×55.0×50.0cm
員数1
解説 人間国宝加藤卓男氏の長男として生まれる。京都市立美術大学では近藤悠三・清水九兵衛に師事。卒業と同時に朝日陶芸展で最高賞を受賞。翌年に日展特選、日本現代工芸展、中日国際陶芸展など数々の賞を受賞している。1804年(文化初年)開窯された幸兵衛窯の跡取りに生まれながらも、伝統的な傾向ではない抽象的な作品から出発した。釉薬の可能性を追求できる恵まれた環境に生まれたが、白と黒の禁欲的な世界で、抽象化された作品群を発表する。 本作品は白と黒がかみ合った円と面、カーブと直線とで組み合わされており、大学卒業後、数々の賞を受賞した時期の作品のひとつである。強固なイメージが多い作品のなかで女性のトルソを連想させる量感ある作品で、詩的な雰囲気をもつ作品である。見る方向によって、平面と曲面との分量が変わり、豊かな表情を湛えている。下部の突き出た三角のシャープな面が、人体の抽象化のみに終わらせない、自己表現としての緊張感を導いている。1960年代後半、純粋美術において前衛で実験的な作品が多くみられ、日展においてもオブジェ的な傾向の強い作品が増加した。若い作家達に刺激となった時代を反映し、既存の美では満足しきれなかった若き時代の作品である。

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