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天馬横轉

タイトル(よみ)てんまおうてん
作家鈴木治 Suzuki Osamu
制作年1973年
寸法16.5×20.5×12.8cm
員数1
解説 1950年代に日本とアメリカでほぼ同時にいわゆるオブジェと称される作品が制作され始め、日本での先駆けを担った陶芸家グループが「走泥社」である。鈴木治は、1948年、八木一夫、山田光らとともに走泥社を創立し、以来、走泥社のみならず日本の現代陶芸において中心的役割を果たしてきた。1954年に器物性を全く排した造形作品「作品」を発表した後、鈴木は「土で出来て轆轤では出来ない形」を探求し続けて今日に至る。60年代に「土偶」、「泥像」が成立し、80年代には「泥象」と称される独自の陶の造形表現を展開させてきた。 部分的に赤化粧を施されて焼き締められた「泥像」のヴァリエーションの中に「馬」が登場するのは1967年。以来「馬」は、彼の主要なモチーフとなる。また1969年より鈴木は青白磁を扱い始め、その2年後から本格的に作品を発表している。彼は「土は整理する形。磁器は加える形」とし、従来の焼締と併行して、馬や鳥など同じ主題に青白磁ならではのアプローチで取り組んでいる。
本作品は数ある青白磁の作品群の中でも、鈴木が影青で追求した趣が見事に主題と一致した傑作である。安定した立方体を基本とし、型作りによる4本の脚が側面に取り付けられ、相対する側面には耳と翼がユーモラスに配され、青白磁の質感・色合いと相まって気品のある風情で横転した天馬の姿態が構成されている。さらに、重要な頭部は本来凸部であるところ、凹部として立方体をえぐることによってその存在感、量感そして動勢を打ち出している。

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