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泥の唄

タイトル(よみ)どろのうた
作家熊倉順吉 Kumakura Junkichi
制作年1964年
寸法75.0×48.5×20.0cm
員数1
解説 熊倉順吉は一時モダンアート協会に属し、また走泥社同人となって活躍するなど、早くから「前衛」の旗手として認知された陶芸家である。陶芸を志して以来、熊倉は器物制作にいそしみ、絵付けによって新しい陶芸を作り出そうとした。しかし彼の関心はやがて形に向かい、昭和30年(1955)第5回個展で<ささめごと><海底の孤愁>などを発表して以降ほぼ5年間、塊を削りとったり面や線の構成から生じる空間を積極的に造形表現に取り入れた、彫刻的作品を制作する。このような時期を経て、その後熊倉は土の塊としての性格が強く表現された作品、肉体の部分を形どった作品、ジャズをテーマとした作品、金彩を特殊処理した作品と多彩に作品を展開していく。なかでも土の塊として表現された作品は、熊倉がそれまでの無釉の作品に対して釉薬の使用を選び、また素材として土を見つめ直して、陶芸ならではの表現を意識し始めた重要な時期のものといえる。
 本作品は、まさにこの時期(1964年頃~1972年頃)に制作された、伊羅保釉の掛かる土の量感溢れた作品である。粘土板を貼りあわすように成形され、その正面と側面には幾つかの穴があけられている。そしてくしゃっとした粘土板、丸形や細長い形の粘土が貼り付けられ、作品全体には櫛目のような跡がつく。作品内部は空洞ながら、全体に重量感が漂う作品となっている。

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