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柿釉丸紋鉄絵大鉢

タイトル(よみ)かきゆうまるもんてつえおおばち
作家濱田庄司 Hamada Shoji
制作年1960年代
寸法15.2×56.0×56.0cm
員数1
解説濱田庄司は民藝運動の中心的存在である。リーチとともに過ごしたイギリスのセントアイヴィスでの作陶生活を終えて帰国後、濱田は益子での制作を志しながら一時期沖縄の壺屋窯で制作。益子に築窯後、制作に邁進する。
 1955年には第1回重要無形文化財技術保持者の指定を受け、以後、自己の芸術を集大成する名作を旺盛に制作している。大鉢の優れた作例も多くはこの時期に生まれている。濱田が挑んだ大鉢は、得意のろくろの技と独創的意匠が一体となったものであり、個人作家としての濱田のひとつの頂点を示すものである。
 本作品は、濱田の生み出した黍紋が鉄絵で自在に描かれ、抜き絵による六つの丸紋もバランスよく配され、 柿釉をたっぷり掛けて焼成されている。発色もよく、堂々たる器形に品格ある鉄絵が浮かびあがる逸品として仕上がっている。濱田が終生描き続けた「黍紋」をはじめとし、抜き絵の丸紋による窓絵ふうの意匠、そして鉄砂や柿釉というこだわりの釉を用いたこの手の大鉢は、濱田の仕事の集大成として位置づけられる。本作品は、実用品の制作を旨とする民藝運動に身を投じながら、自己の独創性と技の融合を目指した個人作家としての濱田を雄弁に物語る一作である。

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