/3

クリンクル・シリーズ「スーパーバッグ1978」

作家小松誠 Komatsu Makoto
窯名セラミックジャパン
制作年1978年
寸法35.0×23.0×13.0cm
員数1
解説 小松誠は、クラフト作家としての制作基盤を保ちながら、量産システム自体を道具として自己のアイデアを社会的に実現することを目指してきた作家である。石膏型による鋳込みで制作された作品は、小松自身の手により、あるいは小松と企業との共同作業により量産され人々の生活の中に入り込んでゆく。
陶磁器は焼成により歪みが生じやすい素材であるため、量産品としてデザインする場合に制約が多くなる。しかし小松は、あくまでも素材の性質を生かす立場から「陶磁器は歪んだかたちに適している」と発想した。また鋳込みという技法自体の本質である「転写」をそのままデザインに生かし、紙やビニールなどの「はかない」皺を陶磁器の永遠の造形に転写した。このようにしてクリンクルシリーズは、日常の器であると同時に新しい美感を備えた視覚触覚の対象物として、人々に直に新たな感覚と価値を提案するものとして生み出された。とりわけクリンクルシリーズの代名詞ともいえる皺の入った紙袋「スーパーバッグ1978」と、その前身である「タンブラーJ」、さらにその後の十年毎の展開を端的に顕わす「スーパーバッグ1988」と「スーパーバッグ1997」は、一連のシリーズの流れを如実に示す作品である。
 本作品「スーパーバッグ1978」は、皺の入った紙袋という極めて日常的な事物を磁器に写したものである。それによって「紙袋」は非日常的な「スーパーバッグ」として立ち現れ、我々を一瞬驚かす。しかしすぐにその「スーパーバッグ」は「器」というごく日常的な存在として我々の生活空間にとけ込んでくる。感覚的にも観念的にも我々に日常と非日常を行き来させる本作品は、小松自身のクラフト作家としての在り方を体現しするライフワーク「クリンクルシリーズ」の誕生を世に告げた作品である。

PageTop