銀彩文盤

タイトル(よみ)ぎんさいもんばん
作家栗木達介 Kuriki Tatsusuke
制作年1982年
寸法5.7×38.0×38.0㎝
員数1
解説造形的なオブジェの仕事を長く続けているが、その制作は器制作に対する姿勢とはっきりと切り離されたものではなく、本質を感じさせる造形への関心は器の形への見直しにつながり、器の形の発生を根源的に問いながら、やきものの造形のあり方を探っている。オブジェにあっても手びねりによる成形、本焼成、上絵付けに至る工程も、多くの点で器と共通するものであり、形の上でも造形の要素を整理していくと質的に器と近似したものが強調され、器とオブジェの仕事は接近してきたという。
 やきものの基本形体は轆轤を使ってできる円筒形にあると考え、そこに生まれる垂直と向き合い、器の形を問い直していく。日常の器作りにはありえない、傾いた器、曲がった器をあえて作ることによって、あらためて器の形が垂直であることが意識されるという。手びねりの成形でいえば、基本は粘土の輪の積み重ねであり、形が発生する源は断面の輪の形状に求められる。この輪の形が変わることによって、形状に変化が生まれる。1982年の赤坂グリーン・ギャラリーでの個展では「傾き」がテーマになっており、続く「曲がり」の仕事も含め、輪を一定の法則や原理に基づいて積むと形は無限に展開することを示している。
 本作品は成形法と形の関係を問いただし、この「傾き」をテーマに器の形を追求していた時期の作品である。さらに、その後も展開をつづける帯模様が銀彩で描かれている。日本新工芸展で楠部賞を受賞した作品であり、栗木の器とオブジェをつなぐ造形への取り組みをよく示す作品である。

PageTop