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彩色角壷

作家加守田章二 Kamoda Shoji
制作年1972年
寸法21.0×20.0×19.5
員数1
解説 加守田章二の生涯は49年間という短いものであったが、その二十数年間の制作活動のなかで、彼の旺盛な制作意欲は多彩な作風となって現れ、独創的魅力に満ちた仕事の数々を残した。60年代半ばにかけて完成した須恵器風灰釉作品に続き、土器風本焼作品や銀彩陶器が制作されるようになり、この土器風本焼作品により加守田は陶芸界で初めて高村光太郎賞を受賞。その後も曲線彫文、彩陶、彩釉へと作風を展開していく。このような加守田の仕事は、彼の師事した富本憲吉が提唱する創作的な陶芸の教えを受け継ぐものであり、多様な変貌を重ねながら、彼独自の陶芸を出現させてきた。本作品が出品された1972年南青山グリーンギャラリー開催の個展では、文様が赤、白、黄緑の波状文と黒、白、黄緑の二種類があり、その白い色面の縁に小さな深い穴が規則的に連続して穿たれた作品が24点出品された。すべて遠野の土に磁器土を薄く化粧掛けしたうえに、白、赤、黒、緑の上絵具で文様を描いたものである。1970年に、硬く焼き締めた曲線彫文の作品群の発表で周囲を魅了した加守田作品は、翌年突如色彩を使用する彩陶という新たな作風の段階へとすすむが、そのさらなる展開を示し、造形ともに緊張感をそなえた作品といえる。

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