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杉生文鉢

タイトル(よみ)すぎうもんはち
作家三原研 Mihara Ken
制作年1989年
寸法13.3x45.0x45.0cm
員数1
解説 三原研が陶芸制作を始めるきっかけは、土木工学を学ぶために入った大学の陶芸サークルに誘われたことによる。最初から最後までひとりで完結できる面白さから、陶芸制作にのめりこみ、大学4年の夏休みに地元の舩木研児の内弟子となった。2年の修業の後独立し、さまざまな公募展に出品、入選入賞を重ねる。個展を中心に、2000年以降、海外での展覧会にも招待出品されるようになり、国際的な活躍の場も広がった。
 独立した直後、三原は自分が作る作品の完成度の低さに愕然としたという。特に釉薬については専門的に学ぶ機会がなかったため、焼しめを中心に色々と試みた。作品を手掛けられなかったある時期には東京の画廊等を何軒も巡り、やきものに限らず様々な作品を鑑賞して目を肥やした。
 本作品はそのような時期に作られた、いわば三原の初期作品のひとつである。信楽の土を買い求め、そこに鉄分の多い赤土のパーセンテージを変えて加え、何種類かの種土を作っておく。そして、器を成形した後、その表面を分割してあたりを付け、全面を覆うように先ほどの種土で作った薄片を貼付けていくのだ。1200度を超える高温でいぶし焼をすると、鉄分の違いに応じて薄片は濃さを変える。緩やかなグラデーションを描きながら渦を巻き、針葉樹に覆われた山並みのような深さを見せるのだ。「杉生文(すぎうもん)」と名付けられたこの文様には、生まれ故郷である島根の山並みに対する思いが込められているという。

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