バラを食べるもの

TitleThe Rose-eater
作家名ジャン・アルプ Jean ARP
技法・素材ブロンズ
制作年1963
寸法縦(cm)13.50
寸法横(cm)18.50
寸法奥(cm)14.50
作品・作家解説ジャン・アルプ
1963年 ブロンズ 13.5×18.5×14.5cm

詩人だったアルプは、この作品にユーモラスで美しい題名をつけました。たしかにこんな生物がいたら花を食べて生きているだろう、と思わせる愛らしさに満ちた彫刻です。「芸術とは植物の果実のように、あるいは母の胎内の子供のように、人間の中で成長する果実である。」こう語るアルプは、自然が生命を生み出すように作品を制作しました。おそらく丸いおわんか何かに石膏(せっこう)を流しこんで作ったかたちを二つあわせ、鋭い切り込みを入れて口をつくっただけで、アルプはこの生物を誕生させました。石膏を切ったり、つけたりしながら、形を自在に成長させるこの自由な精神は、それまでの芸術の考え方をすべて疑い、偶然を大事にしたダダの時代から、アルプが生涯持ち続けたものです。

ジャン・アルプ 1886-1966
初期はハンス・アルプの名で活動。1912年ミュンヘンで〈青騎士〉に、13年ベルリンで〈シュトルム〉に参加する。16年チューリヒでダダを創始。その後フランスでシュルレアリスム、〈抽象・創造〉の運動に加わる。詩、絵画、コラージュ、色を塗った木のレリーフなどを手がけ、30年以後有機的な形の彫刻を制作した。

PageTop