楼閣山水図

TitleLandscape with a Castle
作家名狩野芳崖 KANO Hogai
技法・素材墨、紙
制作年1878
制作年(終)1886
制作年(和)明治11
制作年(和・終)明治19
寸法縦(cm)124.70
寸法横(cm)51.50
作品・作家解説狩野芳崖[かのう・ほうがい]
1878(明治11)-86(明治19)年 水墨、紙、軸、 124.7×51.5cm

狩野芳崖はアーネスト・フェノロサの示唆を受け新時代にふさわしい日本画の礎石を築いた巨匠です。この作品は海を見下ろす崖(がけ)の中腹から見事な枝振りの老松が勢いよく突き出し、その下の楼閣では人物が彼方の景色を眺めています。画面右下の濃い墨で描かれた岩から階段に沿って楼閣へ、さらに海上の岩山から遠景にかすむ山並みへとZ字のような変化をもった構図をとり、画面に奥行き感と空間の広がりを与えています。筆勢は生き生きと力強く、墨の濃淡を巧みに使って画面をひきしめています。芳崖は若い頃から橋本雅邦(がほう)と並び狩野勝川院雅信門下の逸材として知られ、抜群の技量を誇っていました。本図は伝統的な狩野派の筆法によって描かれていますが、幕末維新の風雲をくぐりぬけた壮年期の彼の覇気と気骨にあふれた密度の高い作品です。

狩野芳崖[かのう・ほうがい]1828(文政11)―1888(明治21)
江戸に出て狩野勝川院雅信(しょうせんいんただのぶ)に師事。一時帰郷するが1877年再び上京し、輸出陶器の下絵を描きながら伝統的絵画を研究した。84年の内国絵画共進会の出品作をフェノロサに認められ躍進の機会を得る。狩野派の筆法の上に西洋画の技法も取り入れ近代日本画の革新につとめた。

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