二つの花束

TitleTwo Bouquets
作家名マルク・シャガール Marc CHAGALL
技法・素材油彩、カンヴァス
制作年1925
寸法縦(cm)81.20
寸法横(cm)100.00
作品・作家解説マルク・シャガール
1925年 油彩、カンヴァス 81.2×100.0cm

シャガールは生涯にわたって数え切れないほどの花束を描きました。とりわけ、パリ郊外の村で家族とゆっくり過ごし、田園にあふれる豊かな光や花々に触れる機会に恵まれた1925年頃から、花束をモチーフにした作品が増えています。画面右下の、頭の上に花瓶をのせている人物がシャガール自身と思われますが、二つの花束は彼を幸福で満たしている妻や娘の姿と考えることもできます。花束は美しい静物であるばかりでなく、彼にとって愛や希望のシンボルでもあったからです。そして木の柵の向こう側には、蜃気楼(しんきろう)のように浮かび上がる故郷の町ヴィテブスク。不思議な光に照らされてかすむその光景には、祖国を追われた画家の故郷へ寄せる強い想いが表されているようです。

マルク・シャガール 1887-1985
1910年からパリに住む。ロシア革命を機に祖国と決別、37年フランス国籍を取得。多くの油彩画、グワッシュ(不透明水彩)のほか版画、壁画、ステンドグラスも手がけた。ロシア系ユダヤ人という宿命を負いながらも生きる喜びを見失わず、重力や時間、遠近法などの法則から解き放たれた幻想的な世界を創りあげた。

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