TitleThe Forest
作家名ポール・デルヴォー Paul DELVAUX
技法・素材油彩、板
制作年1948
寸法縦(cm)127.50
寸法横(cm)152.80
作品・作家解説ポール・デルヴォー
1948年 油彩、板 127.5×152.8cm

うっそうとした夜の森にこつ然とあらわれた赤い帳(とばり)。画面右手でひときわ目を引くのは、月光を浴びて冷たい光を放つ裸体の女性です。重力のない世界から遣わされた巫女(みこ)のようなこの女性は、太古の森の精なのでしょうか、それとも死や記憶の化身(けしん)なのでしょうか。そう思うと克明に描かれた草木もどこかこの世ならぬものに思えてきます。シルエットとなったこずえ越しにのぞく月も、不思議な森の情景を際立たせています。左手に見える汽車はこの幻想的な世界に通じる秘密の乗り物なのでしょうか。画面を覆う森には、デルヴォーが学生時代に通ったソワーニュの森の記憶が反映されているのかもしれません。フランス近代の画家アンリ・ルソーの《夢》(1910年)という作品との類似性が指摘されています。

ポール・デルヴォー 1897-1994
シュルレアリスムの画家。ブリュッセルの美術学校で古典絵画を学ぶ。イタリアの画家デ・キリコの影響をうけ、遠近感と消失点を強調する独特の空間表現で、古代都市、考古学者、夜汽車や旅など謎めいた主題を描く。画面にはしばしば無表情の裸婦が夢遊病者のようにたたずみ、見る者はエロスと死の交錯する情念の世界に誘われる。

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