雲と甲斐駒

TitleClouds and Mt.Kai-Komagatake
作家名奥瀬英三 OKUSE Eizo
技法・素材油彩、カンヴァス
制作年1970
制作年(和)昭和45
寸法縦(cm)97.50
寸法横(cm)145.80
作品・作家解説奥瀬は、中央線に乗って甲斐駒ヶ岳を訪ね、その勇姿と向き合い、いくたびもスケッチを重ねたのでしょう。79歳の作品ですが、どこまでも明るく爽快な画面は、新鮮な空気に満ち溢れ、年齢を感じさせません。晩年期の奥瀬は、極めて簡潔な筆触で海や山の雄大な自然を力強く描きとっています。とりわけ代表作品である69年の海景《潮》、そして山景を描いた本作品には、その特徴が遺憾なく発揮されています。雪を戴く甲斐駒と手前の山並みはどっしりと静的で、画面の半分以上を占める澄みきった青空と絶え間なく流れて行く浮雲は動的でという対比で捉え、余分なものは一切ありません。山と雲の一瞬が見せた静と動の在り様から、自然の大きさと豊かさが見事に謳いあげられ、奥瀬が到達した清々しい風景画の世界がのびやかに展開されています。

奥瀬英三[おくせ・えいぞう] 1891(明治24)-1975(昭和50)
太平洋画会研究所に学び、同会会員となる。帝展で連続3回特選を受賞。1924年、斎藤与里、牧野虎雄らと〈槐樹社〉(かいじゅしゃ)を結成する。31年から旧浦和市にアトリエを構える。戦後は〈示現会〉を結成し中心になって活躍する。埼玉県展の運営など埼玉の美術の振興にも貢献した。

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