山湖浅春

TitleMountain Lake in Early Spring
作家名今野忠一 KONNO Chuichi
技法・素材彩色、紙
制作年1988
制作年(和)昭和63
寸法縦(cm)200.50
寸法横(cm)314.00
作品・作家解説今野忠一[こんの・ちゅういち]
1988(昭和63)年 彩色、紙 200.5×314.0cm

山岳信仰の山として知られる出羽三山や蔵王山を望む天童市に生まれた今野は、季節や天候の変化によって刻々と移り変わる山の姿を見て育ちました。そんな彼にとって、山は神の存在を実感する場所であり、美と創作の源泉です。そして、山は自然の大きな営みの中に自分もまた生かされていることを感じさせてくれる存在であり、山を描くことは生きている証(あかし)でもあるようです。この作品では湖水から垂直に立ち上がる雄大な山の姿を重厚な絵肌で量感豊かに描いていますが、春浅いこの頃の山は、雪におおわれた山肌が稜線に沿って姿を見せ始め、残雪の下では様々な生命の胎動が始まっています。雲や霧、山ひだの表現が画面の動勢としてうまく生かされ、自然の息吹や山の霊気のようなものまで見事に伝えています。

今野忠一[こんの・ちゅういち]1915(大正4)-
画家を志し上京して児玉希望の画塾に入門。1940年郷倉千靱(せんじん)の〈草樹社〉に入り、同年の院展に初入選。59年44歳で日本美術院同人となる。愛知県立芸術大学、東北芸術工科大学等で後進の指導にもあたる。雄大な山の霊気を画面に定着させられる数少ない画家の一人として定評がある。

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