600型自動卓上電話機(黒電話)

台帳番号2010002
収集区分1
申請者番号0548
申請者番号2001
時代昭和38年(1963)~
点数1
公開解説 音声を電気信号に変えて離れた場所と相互に通話するための道具です。通話に必要な機器をひとまとめにした据え置きの卓上型や壁掛型(固定電話)がある一方、携帯可能な小型の携帯電話が現在は広く普及しています。特に、多様な機能を搭載したスマートフォンの登場以後、それまでメインだった通話機能が後景に押しやられ、現在のスマートフォンは携帯できるパーソナルコンピューターに通話機能が付随しているものといった性格が強くなっていると言えます。総務省発の『令和元年度版情報通信白書』によれば、令和元年度当時スマートフォンの世帯保有率は79%を超え、一方の固定電話は64%程度となり、家に固定電話が無いという世帯が36%に上ります。また、NTT西日本が公表している都道府県ごとの公衆電話設置数は熊本県は966台となっています。同社は公衆電話を取り巻く環境変化についても公表しており、それを見ると、2000年から2021年の約21年間の間に公衆電話の利用率は98%下がり、設置台数は約71万台から約14万台、実に81%も減少していると記します。固定電話を触ったことが無い、テレホンカードを見たことも、触ったこともない人がいてもおかしくない時代になりました。
 本資料は600型自動式卓上電話機です。日本電信電話公社(現NTT)を中心に複数の会社によって量産され、日本各地に普及しました。600型は機能的に性能向上は望めないほどの高性能機だったため、「完成された電話機」と呼ばれていました。番号の書かれたダイヤル部分をフィンガープレートと呼び、その留め金部分をフィンガーストップと呼びます。フィンガープレートの穴に指を入れ、ストップまで回して指を離し、これを繰り返すことで任意の番号へつなぎます。この動きをダイヤルを回すと言います。プレートを動かす際には微妙な抵抗があり、プレートが戻る際にはダイヤルの戻っていく独特の駆動音がします。黒電話の異名の通り、発売当初は黒一色でしたが、昭和46年(1971)からは黒以外のホワイト・グレー・グリーンも販売されました。
 オイルショック後、コストダウンなどを目的に600型の後継機として601型が誕生します。外見的には600型と601型の差異は見出しがたく、ついつい「黒電話」で総称しがちですが、外装のプラスチック化、ベルをはじめとした内部構造の変化など、カバーを外すとその変化は一目瞭然です。カバーを外した画像も用意していますので、そちらを見ていただくとともに、同様に601型も検索してみて、そのカバーを外した画像を見比べてください。
 また、4号は約2,400グラム、600型は約1,800グラム、601型は約1,100グラムと重さも大分変っています。さらにフィンガープレート(ダイヤル部分)を回した時の駆動音が異なります。ちなみに、当館職員の所持しているiPhone13の重さを試しに計ってみたところ179グラムでした。驚きの軽さですね。

なお、本解説に引用している通信白書、NTTの公衆電話に関する情報は以下で見れます。
通信白書  https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd232110.html(20231018 最終閲覧)
NTT HP https://www.ntt-west.co.jp/info/support/univ/ (20231018最終閲覧)

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