志野茶碗

資料ID1593
中分類工芸
小分類陶磁
コレクション分類北出コレクション
法量1点 口径13.5胴径13.5底径6.0高7.5
制作年桃山(16世紀)
作者情報美濃窯
 美濃国東南部(現岐阜県)で生産された焼物を総称して美濃焼という。美濃は平安末期にはすでに陶器生産の窯が存在していたが、室町時代には当時唯一の施釉陶器生産の地であった瀬戸窯(現愛知県)から技術が流入し、瀬戸と同じ系統の陶器を生産するようになる。以後、美濃と瀬戸は一体の窯業地として考えられ、美濃で作られた焼物は瀬戸焼または美濃瀬戸と呼ばれた。志野や黄瀬戸・織部など16世紀に登場するこれら和様の茶陶は、かつて瀬戸で焼かれたとされていたが、1930年(昭和5)荒川豊蔵が美濃で志野の破片を発見し、これらが瀬戸だけでなく美濃窯でも焼かれていたことが明らかにされた。

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資料解説短めの胴にくびれをつけ、さらに口縁をゆがめて造られた沓形の茶碗。赤褐色の素地に長石釉をたっぷりとかけているが、器体裏は素地のままで、一部は激しく焼けている。側面には釉がかからず露胎している箇所があるが、ここにもよく火が通っており、白いうわぐすりとの対比が鮮やかである。細かい貫入と、ところどころに現れている朱の火色が、独特の景色となっている。高台はヘラで荒々しく削ってあり、窯印などはない。

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