赤絵鳳凰文瓢形徳利

資料ID1576
中分類工芸
小分類陶磁
コレクション分類北出コレクション
法量1点 口径3.9胴径14.3底径9.5高25.2
制作年江戸後期(19世紀)
作者名A若杉窯
作者情報若杉窯
 再興九谷の一つ。若杉窯は、再興九谷の最初である春日山窯で青木木米の助工であった本多貞吉が、能美郡花坂村(現小松市花坂)で磁器生産の指導経営に乗り出したことに始まる。経営は花坂村の隣にある若杉村で瓦製造を家業とする十村役(大庄屋)林八兵衛で、1816年(文化13)からは若杉陶器所として郡奉行の支配下に入り、藩の保護を受けて磁器・陶器の日用品を量産した。若杉窯の特徴として、貫入のある黄色みを帯びた柔らかな素地を挙げることができるが、必ずしもこの素地ばかりではなく、貫入の無い上質の白磁もある。染付や色絵の作品が多く、呉須の色は他の九谷に比べて黒っぽい。また、1817年(文化10)に若杉に来た勇次郎が伊万里風の赤絵付けを行い、後世加賀伊万里と呼ばれる作品を残している。1836年(天保7)火災によって窯を焼失した若杉窯は、隣の八幡村に移設し、その後1869年(明治2)の版籍奉還により、藩による窯の経営は終わりを告げることとなる。

資料解説細かな貫入が器全体に入った瓢形の徳利である。上部に菊と唐草を、下部に鳳凰をあらわし、注ぎ口・腰部・高台をそれぞれ幾何文で飾っている。非常に形の整った徳利で、赤絵の描線も正確であり、陶工の熟練した手腕がみてとれる作品である。銘は一重の角福印。

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