(資料群)森A家 資料

資料群・作家名(ヨミ)もりAけしりょう

略歴・解説

本資料は、三豊市仁尾町で副業として盛んに行なわれていた緬羊関係の用具である。仁尾町に緬羊が導入されたのは、『香川県畜産試験場史』によれば、大正12年(1923)に農林省の指導によって、オーストラリアからコリデール種が導入されたのに始まるといい、また『仁尾町誌』では、昭和2年(1927)に粟島村より来た竹内某によって愛媛県より18頭の羊が導入されたのが始まりとし諸説あるが、いずれにせよ香川県においては、最初に仁尾町で緬羊が導入され最も盛んに行なわれたようである(『新修仁尾町誌』)。仁尾では各戸とも、2~3頭ずつは飼育し、昭和8年(1933)には飼育頭数318頭を数えて、産毛の販売高も1800円に達して県下第一位であったという。また、農林省や北海道から技術者を招いたり、オーストラリアからも羊を購入するなど積極的な普及に務めたという。しかし戦後は、外国製の羊毛が出回るなど、昭和30年代の半ばにはほとんど見られなくなったという。
本資料中の紡毛機は、昭和10年ごろに地元の車大工によって作られたとされるもので、足踏み式である。製縄機と同様なつくりで、糸口に羊毛を入れると撚りがかかって巻き取り枠に巻き取られていくしくみになっている。またカードは、その紡毛機にかける前に水洗いや漂白、染色した縺れた羊毛をすきほぐして同じ方向に揃える道具である。長方形の板に短い針金が細かく植えつけてあり、柄のついたものである。このカード二枚に羊毛を挟み、引っ掻きながら毛の方向を揃えていくのである。本カードには、青色のインクで「梳毛器」「北海道帯広」などという文字が押印されており、緬羊の先進地であった北海道から入手されたことがわかり、交流の様子が伺える。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成8年度』より、一部修正し転載)

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