テキスト内容 | 伎楽の力士。仏法守護の金剛力士に扮し、白衣を着け桙を持って舞う。マラフリ舞。伎楽は呉(くれ)楽ともいう(職員令集解)。古代チベット・インドの仮面劇が中国に伝わり、江南地方・呉(ご)国の楽といわれる。612(推古20)年に百済人・味摩之(みまし)により伝えられたというが(推古紀)、異説も。諧謔的な仕草を伴う楽であったらしい。仏教と共に伝わった伎楽は、仏教儀式に不可欠なものとして寺社などで上演され、2007年の正倉院の獅子面復元により「東大寺」「□□□宝四年四月九」「基永師作」の墨書が発見され、752(天平勝宝4)年の東大寺大仏開眼会の際に使用されたことが明らかとなった。奈良時代に盛んに演じられたが(『延喜式』「雅楽寮」)、中世に衰退。南都諸寺等の資財帳によれば、一具の伎楽面は14種・23面で構成されていたといわれる。『教訓抄(きょうくんしょう)』によると、力士は、崑崙(こんろん)が唐風の美女として表される呉女(ごじょ)に懸想し追い掛け回していたところを懲らしめ、縄で絡め取った。16-3831は、呉女を追う崑崙の男根を力士が桙で落とし、それを振って舞うさまを白鷺の飛ぶ様から連想している、と解説される。 |
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