テキスト内容 | 衣服や調度、食膳など何らかの事を行うための準備を整えること、または準備を整え威儀を正した姿。「この御足跡(みあと)を廻りまつれば足跡主の玉の装ほひ思ほゆるかも見る如もあるか」(仏足石歌)とあるように、仏の姿を表現し、聖なる力を帯びていることが確認できる。アマテラスは、スサノヲが高天原にやってくることに対し「躬(み)に武き備を装ふこと」(神代紀)と男装して立ち向かう。この時アマテラスは、猛々しいスサノヲに対し、数々の服飾品を身につけ、身づくろいを整え、その聖なる力を身にまとって立ち向かう。変身により聖なる力を身に付けることは、記紀のヤマトタケルにも見られる。また、紀に「青き油の笠」を着て葛城から生駒山に隠れた龍に乗る者が登場するが(斉明紀)、変身道具として特に笠・蓑が挙げられ、この装いは、物理的・社会的な境界を移動し越えるときの変身する呪具であるとされる。防人等の出発儀式の正装(20-4330)、船の飾り付け(20-4365)等は、旅の安全を祈り、聖なる力を付すための儀式であったと考えてよい。また、葬儀のための家の飾り付けについても(2-199)、あの世への旅立ちに対する加護を期待してのことといえよう。 |
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