テキスト内容 | トウダイグサ科の常緑高木、現在はトウダイグサ科と異なる点が多いため、ユズリハ科に分類。ユズリハ。本州(福島以西)、四国、九州の山地に自生。本州北部から北海道にかけては、変種エゾユズリハが分布。8~9月に新葉がそろってから古葉が落ち、新旧の交替が極めて明確に行われるため、子が成長してから親が譲ることに譬えてユズリハ(譲葉)といい、また葉の形状から弓の弦に譬えたユズルハ(弓弦葉)とも。「譲葉木」(『和漢三才図会』)、「交譲木」(重修『本草綱目啓蒙』)とも書く。縁起物として葉を正月飾りに用いる風習があり、別名ショウガツノキ。大嘗祭の際に、弓弦葉を白竿に挿し、また神料として供えたことが記される(『延喜式』)。記・応神天皇に「天皇豊明(とよのあかり)聞し看しし日に、髪長比売に大御酒の柏(かしは)を握(と)らしめて、其の太子に賜ひき」とあるが、酒柏とは「弓弦葉を以て白木に挟み」(『貞観儀式』大嘗会儀)とある。常緑の葉として、マツやスギと同様、神の永遠の恩恵を宿した存在、神の依り代として神事に用いられたと考えられる。樹皮と葉は薬用。解毒・駆虫・去痰・利尿などの効用があるが、毒性があるので使用には注意が必要。 |
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