テキスト内容 | 標(2-151他)、紐(3-251他)、髪(2-118他)などと結びつき、その対象によって意味が異なる。ユフ、ムスブとも。紀に「築き立つる稚室葛根(わかむろかづね)…(中略)…取り結へる縄葛(つなかづら)は、此の家長(いへのきみ)の御寿(みいのち)の堅(かたまり)なり」(顕宗紀)と室寿がある。室寿は、新しく室を新築した場合に、その家のとこしえの安全を願う呪言。ワカとは生命の発動を示し、「稚室」は神の宿る特別な室のこと。この室を伸長する生命あふれる「葛根」「縄葛」が作り上げることによって「御寿の堅」となる。つまり、葛根・縄葛によって御寿を保証し、その及ぶ対象が聖なるものであることを示すことをユフという。スサノヲは変身のための呪術として青草を結って笠蓑としたことが記される(神代紀)。標の場合、標という神の領域・神意をユフことにより、神の領域・神意を留め保つ呪術である。そのため、占有や、女性を自分のものと表明する意となる。紐の場合、ヒは霊であり、その霊威ある紐をユフことにより相手の無事を祈り、神の加護や神意を留める。再会を願う呪術。髪は神の宿るものであり、髪をユフことにより神に選ばれたことを示すという(沖縄県久高島・イザイホー)。 |
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