やまと

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名やまと;大和
+表記大和
TitleYamato
テキスト内容①日本国の意(1-63、3-475、5-894)。②大和地方(大和国)の意(1-2、29、29〈或云〉、35、44、52、64、70、71、73、2-91、105、3-280、359、367、389、4-570、6-944、954、956、7-1175、1219、1221、1376、9-1677、10-1956、2128、11-2834、13-3295、3333、14-3363、3457、15-3688)に分かれる。たとえば、「いざ子ども 早く日本へ」(63)は遣唐使の一行にいた山上憶良が、大唐から本郷を憶ってうたった歌であり、①に属す。②の33例は、「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山」(2)の例もあるが、森淳司が指摘したように、「天にみつ 大和を置きて」(29)や「これやこの 大和にしては」(36)など、旅・行幸および大和以外の地でうたう例が圧倒的に多い(27例)。「やまと」に含んでよい用例として、「やまとしま」(3-255、15-3608〈別伝〉、3648)、「やまとしまね」(3-303、366、20-4487)、「やまとぢ」(4-551、6-966、967、12-3128)や「やまとのくに」(1-1、2、3-319、5-894、6-1047、9-1787、13-3236、3248、3249、3250、3254、3326、19-4245、4254、4264、20-4465、4466)がある。「やまとしま」「やまとしまね」「やまとぢ」の諸例は、「やまとしまね」(4487)1例以外は、すべて旅の途上の歌である。②に含めてよい。「やまとのくに」に共通しているのは、いずれも賛辞的枕詞をもつことである。その内訳は「あきづしま」4例、「そらみつ」5例、「たかしかす」1例、「ひのもとの」1例である。これらの「やまと」は、大和地方か日本国かというより、それぞれの文脈で「くに」意識に支えられた賛美的表現として意味付けられている。記紀歌謡に目を転じてみると、記には、日本国を指す「やまと」の確例はみられない。景行記の「倭は 国の真秀ろば」などが①の例である。一方の紀には、欽明紀の「韓国の 城の上に立ちて 大葉子は領巾振らすも 日本へ向きて」などに①の例がみえる。直木幸次郎は「やまと」の範囲について、奈良盆地の東部山麓の一地名としておこったものが、時とともにその名の意味する範囲が広がり、奈良盆地全域を指し、さらに令制下の国名となり、最後には日本全体をあらわす言葉になったという。記紀・万葉集レベルで重要なことは、「やまと」が賛美表現として、森の述べるように大君への賛仰とつながることであろう。森淳司『万葉とその風土』(桜楓社)。直木孝次郎『飛鳥奈良時代の研究』(塙書房)。青木周平『古代文学の歌と説話』(若草書房)
+執筆者青木周平
-68945402009/07/06hoshino.seiji00DSG000771やまと;大和Yamato①日本国の意(1-63、3-475、5-894)。②大和地方(大和国)の意(1-2、29、29〈或云〉、35、44、52、64、70、71、73、2-91、105、3-280、359、367、389、4-570、6-944、954、956、7-1175、1219、1221、1376、9-1677、10-1956、2128、11-2834、13-3295、3333、14-3363、3457、15-3688)に分かれる。たとえば、「いざ子ども 早く日本へ」(63)は遣唐使の一行にいた山上憶良が、大唐から本郷を憶ってうたった歌であり、①に属す。②の33例は、「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山」(2)の例もあるが、森淳司が指摘したように、「天にみつ 大和を置きて」(29)や「これやこの 大和にしては」(36)など、旅・行幸および大和以外の地でうたう例が圧倒的に多い(27例)。「やまと」に含んでよい用例として、「やまとしま」(3-255、15-3608〈別伝〉、3648)、「やまとしまね」(3-303、366、20-4487)、「やまとぢ」(4-551、6-966、967、12-3128)や「やまとのくに」(1-1、2、3-319、5-894、6-1047、9-1787、13-3236、3248、3249、3250、3254、3326、19-4245、4254、4264、20-4465、4466)がある。「やまとしま」「やまとしまね」「やまとぢ」の諸例は、「やまとしまね」(4487)1例以外は、すべて旅の途上の歌である。②に含めてよい。「やまとのくに」に共通しているのは、いずれも賛辞的枕詞をもつことである。その内訳は「あきづしま」4例、「そらみつ」5例、「たかしかす」1例、「ひのもとの」1例である。これらの「やまと」は、大和地方か日本国かというより、それぞれの文脈で「くに」意識に支えられた賛美的表現として意味付けられている。記紀歌謡に目を転じてみると、記には、日本国を指す「やまと」の確例はみられない。景行記の「倭は 国の真秀ろば」などが①の例である。一方の紀には、欽明紀の「韓国の 城の上に立ちて 大葉子は領巾振らすも 日本へ向きて」などに①の例がみえる。直木幸次郎は「やまと」の範囲について、奈良盆地の東部山麓の一地名としておこったものが、時とともにその名の意味する範囲が広がり、奈良盆地全域を指し、さらに令制下の国名となり、最後には日本全体をあらわす言葉になったという。記紀・万葉集レベルで重要なことは、「やまと」が賛美表現として、森の述べるように大君への賛仰とつながることであろう。森淳司『万葉とその風土』(桜楓社)。直木孝次郎『飛鳥奈良時代の研究』(塙書房)。青木周平『古代文学の歌と説話』(若草書房)
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資料ID32381

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