たなばた

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名たなばた;織女
+表記織女
TitleTanabata
テキスト内容機織女のこと。「たなばた(七夕)」は7月7日の夜、織女星が天の川を渡って牽牛(けんぎゅう)星に逢うという中国の伝説、およびそれに基づく行事のことで、早くから日本にも伝わった。「たなばた」は、この七夕伝説に基づく機織姫のことをいうのが一般的で、10-2063、2080、2081などの「たなばた」は機織姫のことである。機織姫は「たなばたつめ」としても出てくる。中国の伝説では織女星が牽牛星に逢いにいくというものだが、日本では日本の妻問い婚の習慣を反映してか、牽牛星(彦星)が織女星に逢いに行くというものが多い。織女の姿として「わたしのためにと織女星がその家で織っていた白い布は」(10-2027)のように、「たなばたつめ」は布を織る女性として歌われている。また白雲を織女星の領巾(ひれ)(細長い薄い布)(10-2041)、霧を織女星の衣の袖(10-2063)とみなすものもあり、「たなばたつめ」は日本的な女性のいでたちと巫女性をかもし出している。一方、「織女の い渡らさむに 棚橋渡せ」(10-2081)、「織女(たなばた)し 舟乗りすらし」(17-3900)などのように、中国の伝説どおり織女星が牽牛星に逢いにいくというものもみえる。記紀に「天なるや 弟棚機(おとたなばた)の 項(うな)がせる 玉の御統(みすまる) 御統に 足玉はや」(記歌謡6、紀歌謡2)と、「おとたなばた」の語がみえる。これは若い機織りの女という意で、首にかけた玉の音を響かせながら機を織る古代の織女の姿が描かれている。神代紀下に、波頭の立っている上で手玉もさやかな音をたてるほどに機を織っている少女とニニギノ尊の出会いがあるが、これらは折口信夫のいう、たな作りの建物に住み神の訪れを待つ、古代習俗の一つの型をなすものである。こうした日本の習俗などがあったから、中国から七夕伝説が伝来しても、「直ちにこれを摂取するだけの準備期、享受の素地が上代人の間にあった」という小島憲之の指摘がある。折口信夫「水の女」『全集 2 』(中央公論社)。小島憲之「七夕をめぐる詩と歌」『上代日本文学と中国文学 中』(塙書房)。
+執筆者小野寺靜子
コンテンツ権利区分CC BY-NC
資料ID32106
-68670402009/07/06hoshino.seiji00DSG000496たなばた;織女Tanabata機織女のこと。「たなばた(七夕)」は7月7日の夜、織女星が天の川を渡って牽牛(けんぎゅう)星に逢うという中国の伝説、およびそれに基づく行事のことで、早くから日本にも伝わった。「たなばた」は、この七夕伝説に基づく機織姫のことをいうのが一般的で、10-2063、2080、2081などの「たなばた」は機織姫のことである。機織姫は「たなばたつめ」としても出てくる。中国の伝説では織女星が牽牛星に逢いにいくというものだが、日本では日本の妻問い婚の習慣を反映してか、牽牛星(彦星)が織女星に逢いに行くというものが多い。織女の姿として「わたしのためにと織女星がその家で織っていた白い布は」(10-2027)のように、「たなばたつめ」は布を織る女性として歌われている。また白雲を織女星の領巾(ひれ)(細長い薄い布)(10-2041)、霧を織女星の衣の袖(10-2063)とみなすものもあり、「たなばたつめ」は日本的な女性のいでたちと巫女性をかもし出している。一方、「織女の い渡らさむに 棚橋渡せ」(10-2081)、「織女(たなばた)し 舟乗りすらし」(17-3900)などのように、中国の伝説どおり織女星が牽牛星に逢いにいくというものもみえる。記紀に「天なるや 弟棚機(おとたなばた)の 項(うな)がせる 玉の御統(みすまる) 御統に 足玉はや」(記歌謡6、紀歌謡2)と、「おとたなばた」の語がみえる。これは若い機織りの女という意で、首にかけた玉の音を響かせながら機を織る古代の織女の姿が描かれている。神代紀下に、波頭の立っている上で手玉もさやかな音をたてるほどに機を織っている少女とニニギノ尊の出会いがあるが、これらは折口信夫のいう、たな作りの建物に住み神の訪れを待つ、古代習俗の一つの型をなすものである。こうした日本の習俗などがあったから、中国から七夕伝説が伝来しても、「直ちにこれを摂取するだけの準備期、享受の素地が上代人の間にあった」という小島憲之の指摘がある。折口信夫「水の女」『全集 2 』(中央公論社)。小島憲之「七夕をめぐる詩と歌」『上代日本文学と中国文学 中』(塙書房)。
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