テキスト内容 | 越中国(現富山県)東南部に位置する立山連峰の主峰。飛騨山脈北西部に列なる。立山本峰は雄山・大汝山・富士の折立の3峰からなり、この立山に浄土山・別山を加えて立山三山ともいう。加賀国の白山と並んで古来、霊山として名高く、『延喜式』神名帳において越中国新川郡七座の一つに数えられる雄山神社では、立山両権現(手力雄命・伊弉諾尊)が祀られている。万葉集(17-4000~4005)では、越中に赴任した大伴家持が「吉野行幸歌」や「詠不尽山歌」の流れを受け継ぎつつ、賦の表現方法を意識して詠んだ「立山賦一首并短謌」及びそれに応える大伴池主の返歌「敬和立山賦一首并二絶」にのみ見られる。「皇神の領きいます新川のその立山に」(4000)、「立山に降り置ける雪を常夏に見れども飽かず神からならし」(4001)、「神ながら御名に帯ばせる」(4003)、「立山に降り置ける雪の常夏に消ずてわたるは神ながらとそ」(4004)のように、その霊山としての性格を踏まえた上で立山は詠まれている。この背景には須弥山や崑崙山といった神山のイメージが重なる。辰巳正明「大地のはてまで広まる名声 蘇命路賛歌」『詩霊論 人はなぜ詩に感動するのか』(笠間書院)。 |
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