テキスト内容 | 赤色。「さ」は接頭語。「さ丹つらふわご大王は」(3-420)「さ丹つらふ黄葉散りつつ」(6-1053)など、丹(赤色)を帯びることをいう。「つらふ」は連ふ。「大王」や「君」など人物にかかる場合は、赤みのさした容貌をいい、その美しさをほめていう。『延喜式』祈年祭祝詞には「赤丹のほに聞こしめす」とあり、天皇が酒を召し上がり赤く色に出るという表現がみられる。また、「さ丹塗の小舟」(8-1520、9-1780、13-3299)「さ丹塗の大橋の上ゆ」(9-1742)など、赤色に塗装された建造物に対しても用いる。丹の舟は官船であるともいわれる。「赤土に寄せたる」(7-1376)歌に、大和の宇陀の「真赤土(まはに)」の丹色が衣に付いたら、そのことでも私を言うだろうかと詠まれ、丹は赤土を染料とした色であることがわかる。神武記によれば美和の大物主神が勢夜陀多良比売の美しさに感じ、比売が大便をするときに丹塗矢と化して、比売の陰部を突いた。比売は驚いてその矢を持ち、床の辺に置いたところ、矢はたちまちに麗しい男となって比売を娶って子を成したという。丹塗りは現在でも神社の鳥居などに用いられ、神聖な色とされる。 |
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