テキスト内容 | ①生長する竹の意。②根這う状態による宮の賛美。①は「さす竹の隠りてあれ」(11-2773)とあり、生長してできる竹の節に(わが妻よ)隠っておれという意となる。「さす」は「五百枝さす」(3-324)「瑞枝さす」(13-3223)の「さす」と同義で生長し栄えること。②は「さす竹の皇子の御門」(2-199一云)や「さす竹の大宮此処と定めけらしも」(6-1050)などのように、竹が生長ししっかりと根が張る状態によって宮殿を賛美する表現。雄略記99番歌謡に「纏向の 日代の宮は 朝日の 日照る宮 夕日の 日がける宮 竹の根の 根垂る宮 木の根の 根蔓ふ宮」とあり、根によって宮殿の盤石を表現することが認められる。またそこから、「さす竹の皇子の宮人」(2-167一云)や「さす竹の大宮人」(6-955、6-1047、15-3758)、「さす竹の舎人壮士」(16-3791)など、宮中の人の表現に対しても用いられる。推古紀104番歌謡にも「しなてる 片岡山に 飯に飢えて 臥せる その旅人あはれ 親無しに 汝生りけめや さす竹の 君はや無き 飯に飢て 臥せる その旅人あはれ」とあるが、この場合の君は天皇ではなく領主或いは族長を指すものとされる。 |
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