さけびおらぶ
大分類 | 万葉神事語辞典 |
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分野分類 CB | 文学 |
文化財分類 CB | 学術データベース |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+項目名 | さけびおらぶ;叫びおらぶ |
+表記 | 叫びおらぶ |
Title | Sakebiorabu |
テキスト内容 | 叫びわめく。「叫びおらぶ」は、大声をあげることを示す「叫ぶ」と、悲しみを込めて泣きわめく「おらぶ」が連続した語で、他に用例はない。「おらぶ」は、「哭」や「号」の訓として用いられるが、多くは、死者を悼む場面で使われる。これは、古代の葬送において、泣くことで死者を慰霊することを目的とした哭泣儀礼を反映した文学表現と言われている。高橋虫麻呂の菟原処女の歌に「天仰ぎ 叫びおらび 地を踏み」(9-1809)とある。千沼壮子と菟原壮子に求婚された菟原処女が、2人の争いに悩み自殺し、千沼壮子もすぐに菟原処女の後を追って死んでしまう。最後は2人の後を追う菟原壮子であるが、先を越され1人残されたことを知り、天を仰ぎ叫びわめいて地を蹴って嘆く菟原壮子の様子に、「叫びおらぶ」が用いられている。叫びおらんだ後、菟原壮子もまた、娘子の後を追って行く。菟原壮子が、こうした行動を取ったのも、千沼壮子が娘子と、あの世で逢うことに嫉妬したためである。悲しみ嫉妬する菟原壮子の天地を揺るがすような強烈な絶叫を示す語として、「叫びおらぶ」が用いられたのであろう。 |
+執筆者 | 倉住薫 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-NC |
資料ID | 31996 |
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