さきく

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名さきく;幸く
+表記幸く
TitleSakiku
テキスト内容無事に。繁栄・幸福を意味する名詞「サキ」が副詞化した語。もともとは、近江荒都歌(1-30)に「楽浪の志賀の唐崎幸くあれど」とあるように、繁栄を示していたが、のちに、旅に出る相手や、離れている相手の無事を祈る際に慣用的に用いられるようになったようだ。山上憶良の好去好来の歌(5-894)の末尾には「つつみなく幸くいまして」とある。題詞の「好去好来」は、中国の六朝詩に用いられた語であり、旅立つ者に対して言う別れの言葉で、「幸くいまして」は、「好去」に当たる。また、「ま幸く」とも用いられ、有間皇子の自傷歌(2-141)では、岩代の浜松の枝を引き結んで、無事でいられたなら、また帰ってきてみることもあろう、と草木を結ぶことによって旅の安全を祈願している。大伴三中の歌(3-443)には、家に残された母親が、斎瓫を置き、木綿と和細布を持ち、旅立った息子が「平けくま幸くませと」と、息子の安全を祈る姿が詠まれている。「幸く」には、言葉の力によって予祝するという言霊信仰と、旅の安全を祈念する呪術とが深く関わっていると言える。
+執筆者倉住薫
-68555402009/07/06hoshino.seiji00DSG000381さきく;幸くSakiku無事に。繁栄・幸福を意味する名詞「サキ」が副詞化した語。もともとは、近江荒都歌(1-30)に「楽浪の志賀の唐崎幸くあれど」とあるように、繁栄を示していたが、のちに、旅に出る相手や、離れている相手の無事を祈る際に慣用的に用いられるようになったようだ。山上憶良の好去好来の歌(5-894)の末尾には「つつみなく幸くいまして」とある。題詞の「好去好来」は、中国の六朝詩に用いられた語であり、旅立つ者に対して言う別れの言葉で、「幸くいまして」は、「好去」に当たる。また、「ま幸く」とも用いられ、有間皇子の自傷歌(2-141)では、岩代の浜松の枝を引き結んで、無事でいられたなら、また帰ってきてみることもあろう、と草木を結ぶことによって旅の安全を祈願している。大伴三中の歌(3-443)には、家に残された母親が、斎瓫を置き、木綿と和細布を持ち、旅立った息子が「平けくま幸くませと」と、息子の安全を祈る姿が詠まれている。「幸く」には、言葉の力によって予祝するという言霊信仰と、旅の安全を祈念する呪術とが深く関わっていると言える。,382さきく幸く倉住薫さ1
資料ID31991

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