こもりづま

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名こもりづま;隠妻
+表記隠妻
TitleKomorizuma
テキスト内容人目を避けなければならない秘すべき関係にある妻。巻11の正述心緒にその用例が多い。「いたくは鳴かぬ隠り妻はも」(11-2803)と、公にできない関係を、「母知りぬべし」「父知りぬべし」「思ふごとならぬ隠り妻かも」と、父母の公認を得ていない関係を歌っている。また、11-2656では、「斎(いは)ひ槻(つき)」を隠り妻の比喩として用い、「軽(かる)の社に祀る槻の木の下にいつまでもこうして隠り妻であるのだろうか」と歌っている。「軽の社の斎ひ槻」を隠り妻の比喩とするのは、ここでの隠り妻が、神迎えをする巫女的存在の女性であることを示している。類想歌として、「泊瀬の弓月(ゆつき)が下に我が隠せる妻」(11-2353)があり、ここでの「弓月」は、本文「弓槻」であり、「斎槻」と解釈することもできる。神迎えの木である槻の下の恋を歌うこの歌にも、神婚のイメージがある。13-3266では、聖域である「神奈備(かむなび)」での隠り妻との逢瀬を歌っている。秘すべき関係は人妻との逢瀬にも歌われるが、隠り妻は、特に神と関わる女性に対する禁忌性が強く表れた表現と言える。
+執筆者倉住薫
コンテンツ権利区分CC BY-NC
資料ID31981
-68545402009/07/06hoshino.seiji00DSG000371こもりづま;隠妻Komorizuma人目を避けなければならない秘すべき関係にある妻。巻11の正述心緒にその用例が多い。「いたくは鳴かぬ隠り妻はも」(11-2803)と、公にできない関係を、「母知りぬべし」「父知りぬべし」「思ふごとならぬ隠り妻かも」と、父母の公認を得ていない関係を歌っている。また、11-2656では、「斎(いは)ひ槻(つき)」を隠り妻の比喩として用い、「軽(かる)の社に祀る槻の木の下にいつまでもこうして隠り妻であるのだろうか」と歌っている。「軽の社の斎ひ槻」を隠り妻の比喩とするのは、ここでの隠り妻が、神迎えをする巫女的存在の女性であることを示している。類想歌として、「泊瀬の弓月(ゆつき)が下に我が隠せる妻」(11-2353)があり、ここでの「弓月」は、本文「弓槻」であり、「斎槻」と解釈することもできる。神迎えの木である槻の下の恋を歌うこの歌にも、神婚のイメージがある。13-3266では、聖域である「神奈備(かむなび)」での隠り妻との逢瀬を歌っている。秘すべき関係は人妻との逢瀬にも歌われるが、隠り妻は、特に神と関わる女性に対する禁忌性が強く表れた表現と言える。372こもりづま隠妻倉住薫こ1

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