テキスト内容 | カラス科カラス属およびそれに近縁の鳥の総称。東アジアの神話には太陽に住む鳥として描かれる。『淮南子』の「墜形訓」には弓の名手が太陽を射落としたところ三本足のカラスが落ちてきたという話が載る。また『説文』の「烏、孝鳥也」とあるのは親鳥に孝行する子ガラスの話に基づいたもので儒教的解釈によるものである。これは『懐風藻』の「和藤江守詠裨叡山先孝之旧禅処柳樹之作」に「孝鳥」が見え、父を思い泣く子の姿として反映されてる。また記紀では神武天皇を熊野から吉野へ、さらに宇陀へと先導する鳥として八咫烏が見え、その宇陀にいた兄宇迦斯、弟宇迦斯の元に使者として遣わされるのも八咫烏である。万葉集においては「暁と夜烏(烏)鳴けどこの山上の木末の上はいまだ静けし」(7-1263)や「朝烏(烏)早くな鳴きそわが背子が朝明の姿みれば悲しも」(12-3095)など烏の鳴き声を題材にして恋人との逢瀬の時間に終わりを告げる鳥として詠まれる。また烏の鳴き声は「烏とふ大をそ鳥の真実にも来まさぬ君を児ろ来とそ鳴く」(15-3521)というように恋人を希求する「児ろ来(恋人が来る)」という聞きなしも見える。さらに「烏」の字は「烏玉・烏珠=ヌバタマ」「香烏髪=カグロキカミ」など、黒色の象徴としても用いられる。 |
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