テキスト内容 | 神さびる。神のようにふるまう(人間離れする)。神々しい様。「神」に動詞を作る接尾語「ブ」を接した語。「神さぶ」と同等の意を持つ。「名詞+ブ」は他に「都び(都備)」(3-312)、「宮び(美也備)」(5-852)などがあり、「宮び」は風流を好む男の意である「風流人(みやびを)」の語などを形成する。また「形容詞+ブ」は「荒ブ」「嬉シブ」「悲シブ」「乏シブ」などがあり、いずれも「~くなる」の意である。「神び」は万葉集に2例見られ、「石上布留の神杉神びにしわれやさらさら恋に逢ひにける」(10-1927)は、石上の布留の神杉のように年老いてしまった私が、またまた恋に出会ってしまったという。「神び」は神々しい神杉を人間離れするほど年老いたわが身にたとえて、恋から遠い状態を表している。また「鳥総たて船木伐るといふ能登の島山 今日見れば木立繁しも幾代神びそ」(17-4026)は、鳥総をたてて船材を伐るという能登の島山よ、今日木立が繁っているのを見ると神々しく幾代経てきたことかと思われるという。「鳥総たて」は「伐った切株の上にその木の末をさして山の神に奉る風習があった」(『時代別国語大辞典』)というように能登の島山が神奉りの場所であり、その島山をみて神々しい(神び)と感じたのである。 |
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