テキスト内容 | 天上の神々が集まること。万葉集には人麿の詠む日並皇子挽歌に「天地の 初の時 ひさかたの 天の河原に 八百万 千万神の 神集ひ 集ひ座して 神はかり はかりし時に」(2-167)と見える。天地初発の時に天の河原に八百万・千万の神々が集まり、神々の統治場所を決定したという。この神々は原初の神々であり、その神の数を八百万・千万の神という。この数字は多数をいうに過ぎないようである。だが、この神々の集った場所が「天の河原」であるというのは、これは「天の川」の河原の意であろう。天の川は七夕伝説で知られるが、この河原に集った神々は天の川(天漢)を構成している星々のことと思われ、その意味では八百万・千万の神を想定することは可能である。つまり、原初の天上の神は、この天の川の星々であり、その周囲には牽牛・織女や北斗などのさまざまな星があり、それらは中国天官書によれば、天の宮廷を構成する星々である。宇宙の原初の神はそこから出発し、天地の支配神を決定したのである。「神集ひ集ひ座して」と神々の集まりを重ねて表現するのは、単なる強調表現ではなく、これはすべての神々の集まりであり、そこでは宇宙の根源的な決定がなされることにあるのであり、この決定は天地すべての真理として決定され、それは以後に歴史的事実として働くことを意味したのである。 |
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