かぐわし
大分類 | 万葉神事語辞典 |
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分野分類 CB | 文学 |
文化財分類 CB | 学術データベース |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+項目名 | かぐわし;かぐはし;香ぐはし |
+項目名(旧かな) | かぐはし |
+表記 | 香ぐはし |
Title | Kaguwashi |
テキスト内容 | ①においが良いこと。香りが高い。かんばしい。②なつかしい。心を惹きつけられる、慕わしく思う、の意。万葉集には全6例みられる。うち、作者未詳歌(10-1967)、大伴家持の橘の歌(18-4111)、同じく大伴坂上郎女宛の代作歌(19-4169)、占部広方の歌(20-4371)4例は「橘」に関連させて当該語を詠む。記紀の各1例も同様であり、また、「かぐはし君」と詠む18-4120番歌は橘諸兄(葛城王)を念頭に置いた家持の歌であることから、基本的には「橘」を修飾する語と考えられる。常緑樹である橘は、「常世の国」の木とも呼ばれ、生命長久や繁栄を示す樹木とされた。当該語は、橘の五感にとらわれない霊妙な様子を表すことが原義とみられる。それゆえに、作者未詳歌において、やつれた恋人に贈る橘に冠して詠み、その霊性に触れて早期回復することを願うものと考えられる。唯一「梅」に使用している治部大輔市原王の歌(20-4500)も、梅花の香りの良さにとどまらず、それが霊妙な雰囲気を漂わせた姿であることを歌うものとみられる。なお、応神記43・応神紀35では花橘に美しい女性のイメージを含み持たせている。 |
+執筆者 | 小林真美 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-NC |
資料ID | 31827 |
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