テキスト内容 | 『類聚名義抄』には「占」、「卜」、「噬」の文字に「ウラナフ」の訓を見る。上代語に「うらなふ」の確例はないが、「うらなふ」の語構成は「うら(占)+なふ」であると思われる。こうした語の類例として、「人をも止毛奈方須之天(伴はずして)」(第33詔)、「罪なひたまひ(罪奈比給)」(第35詔)、のような「名詞+なふ」の例、「失はず(宇思奈波受)」(15-3751)のような「動詞+なふ」の例、「諸人を 誘ひたまひ(伊射奈比多麻比)」(19-4094)のような「感動詞+なふ」の例を掲げることができる。しかし、その一方で、「うら」の動詞化として想定されるべき「うらふ」の確実な用例を見出せない。こうした状況から、上代においてすでに「うらなふ」という語が成立していた可能性は高いと思われる。また、『大系』、『沢瀉注釈』、『集成』、『全注』、『新大系』、『釈注』、『和歌大系』などの訓に従って、「玉桙の 道行き占の 占相 妹は逢はむと 我に告りつる」(11-2507)の第3句「占相」を「うらなへば」と訓めば、上代の「うらなふ」の例となるが、『全集』、『新全集』などは「うらまさに」と訓んでおり、これも確実な例とはいえない。このような用例の現状ではあるが、「太占をもちて卜合ひたまひ(以太占卜合之)」(神代紀上、第四段一書第一)、「汝を以て占はむ(当以汝為占)」(神武即位前紀、戊午年九月五日)など文字列を「うらなふ」と訓じる傾向にあり、これらを和語「うらなふ」の意味と捉えることは間違ってはいまい。とすると、「うらなふ」は「うら」を実践することを表すことになり、「うら」の意味である「外在する結果や現象を吉凶判断や未来予測に関係づける行為」を行う意を示す動詞として理解するのが最も当たっていよう。→<a href="http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_dsg&data_id=68337">うら〔卜・占〕</a>、<a href="http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_dsg&data_id=68342">うらへ〔卜へ・占へ〕</a> |
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