テキスト内容 | ①裏、内側。②心、思い。①の具体例には、「袷(あわせ)の衣裏(ころもうら)にせば」(12-2965)「針袋…裏も継ぎたり」(18-4129)のような布の裏の例がある。また「天地の底ひの裏」(15-3750)とは、天地の極限の裏側の世界、もしくは天地の底部の内側であるが、ここでのウラは我々が見ることも行くこともできない世界である。ウラには〝表面にあらわれず隠れている〟という意味が基本的にあり、②のように内面の心の意にも用いられる。②の具体例を見ていくと、ウラモナク(12-2968)は、一重の衣の裏が無いということと、無関心であることを掛けたもの。ウラサブ(1-33、2-210等)は寂しく思うことで、ウラブル(11-2143等)もほぼ同意である。ウラグハシ(13-3222、17-3993)は、心に美しく感じられることで、風景を賛美する場合に用いるが、紀の雄略6年2月条でも泊瀬(はつせ)の山をウラグハシとする。ウラゴヒシ(17-3993、17-4010等)とは心恋しいことで、記の清寧条の歌謡にはウラゴホシの形で出てくる。ウラナク(1-5、10-1997等)は、心の中で泣くことである。②の意味のウラは、ウラモナシという慣用表現以外では、ほとんどが接頭語的に使われている。 |
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