テキスト内容 | ①うまい、味がよい。②よい、美しい、結構である。形容詞ウマシにはク活用とシク活用の二種類があり、基本的にク活用では①の意、シク活用では②の意であるといわれている。万葉集で形容詞の例は「飯(いい)食(は)めど うまくもあらず」(16-3857)のみで、他例では形容詞語幹(ク活用ではウマ、シク活用ではウマシ)に名詞が接続した形で現れる。具体的には「味酒(うまさけ)」「甘睡(うまい)」「味飯(うまいい)」「うまこり」「うまひと」「うま人さび」「うまし国」「うましもの」がある。「味酒」(1-17、7-1094、8-1517)「味酒を」(4-712、13-3266)「味酒の」(11-2512)は、三輪(みわ)(三諸(みもろ)・三室(みむろ)・神奈備山(かむなびやま))の枕詞である。崇神紀8年12月条の歌謡にも「味酒 三輪の殿の」とある。味酒と神酒が同義であることから、神酒の古語ミワと同音の三輪にかけ、転じてその別名の三諸などにもかけた。また「甘睡(うまい)」(11-2369、12-2963等)は共寝を意味する。また「うまし国」(1-2)は素晴らしい国の意で、舒明天皇の国見(古代天皇の儀礼)の歌で、大和の地を讃える言葉として登場している。 |
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