うまさけ

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名うまさけ;味酒
+表記味酒
TitleUmasake
テキスト内容「うまさけ」はミワに冠する枕詞で、他に「うまさけの」「うまさけを」の語形がある(共に枕詞)。ミワは、サケ・キ・クシと共に酒を意味する語である。サケが一般語であり、神霊に供える場合、サケと区別してキ(オホミキ・クロキ・シロキ・トヨミキ・ミキ)と称された。クシの語は霊妙を意味する「奇(く)し」から転成した語かと考えられている。さてミワの語は、13-3229の「神酒」の例や、土左国風土記(三輪河)に見られる「酒」、播磨国風土記 (伊和村)に見られる「神酒」の事例から、「神酒」をミワと称したことが判明する。『和名抄』にも「神酒」に「美和(みわ)」の訓があり、このことが確認出来る。その神酒を意味するミワの語に冠する枕詞が「うまさけ」であり、「うまさけ」は形容詞「うまし」の語幹「うま」から直接「さけ」に接続した古用法で、「うまき-さけ」の意味となる。紀歌謡の16や17には一字一音の万葉仮名表記による「ウマサケ-ミワ」の例がある。万葉集には「味酒-三輪(みわ)」(1-17、8-1517)の2例の他に、「味酒-三室(みむろ)の山」(7-1094)の例がある。「味酒-三輪」は神酒ミワと同音の地名ミワに「うまさけ」の枕詞を冠したものであり、地名ミワは神の座(いま)すところを意味するミムロでもあるために、転じて冠していると理解できる。4音節の枕詞は古層の語であるが、転じて5音節化した枕詞が「うまさけの」と「うまさけを」であり、「味酒の-三諸(みもろ)の山」(11-2512)、「味酒を-三輪」(4-712)「味酒を-神奈備山(かむなびやま)」(13-3266)の例がある。他に「餌香(ゑか)」に冠する「旨酒(うまさけ)」の例が顕宗紀(室寿(むろほき)の寿詞(よごと))に出、皇太神宮儀式帳に「味酒-鈴鹿(すずか)」の例がある。廣岡義隆「『うまさけ』攷」『上代言語動態論』(塙書房)。
+執筆者廣岡義隆
コンテンツ権利区分CC BY-NC
資料ID31767
-68331402009/07/06hoshino.seiji00DSG000157うまさけ;味酒Umasake「うまさけ」はミワに冠する枕詞で、他に「うまさけの」「うまさけを」の語形がある(共に枕詞)。ミワは、サケ・キ・クシと共に酒を意味する語である。サケが一般語であり、神霊に供える場合、サケと区別してキ(オホミキ・クロキ・シロキ・トヨミキ・ミキ)と称された。クシの語は霊妙を意味する「奇(く)し」から転成した語かと考えられている。さてミワの語は、13-3229の「神酒」の例や、土左国風土記(三輪河)に見られる「酒」、播磨国風土記 (伊和村)に見られる「神酒」の事例から、「神酒」をミワと称したことが判明する。『和名抄』にも「神酒」に「美和(みわ)」の訓があり、このことが確認出来る。その神酒を意味するミワの語に冠する枕詞が「うまさけ」であり、「うまさけ」は形容詞「うまし」の語幹「うま」から直接「さけ」に接続した古用法で、「うまき-さけ」の意味となる。紀歌謡の16や17には一字一音の万葉仮名表記による「ウマサケ-ミワ」の例がある。万葉集には「味酒-三輪(みわ)」(1-17、8-1517)の2例の他に、「味酒-三室(みむろ)の山」(7-1094)の例がある。「味酒-三輪」は神酒ミワと同音の地名ミワに「うまさけ」の枕詞を冠したものであり、地名ミワは神の座(いま)すところを意味するミムロでもあるために、転じて冠していると理解できる。4音節の枕詞は古層の語であるが、転じて5音節化した枕詞が「うまさけの」と「うまさけを」であり、「味酒の-三諸(みもろ)の山」(11-2512)、「味酒を-三輪」(4-712)「味酒を-神奈備山(かむなびやま)」(13-3266)の例がある。他に「餌香(ゑか)」に冠する「旨酒(うまさけ)」の例が顕宗紀(室寿(むろほき)の寿詞(よごと))に出、皇太神宮儀式帳に「味酒-鈴鹿(すずか)」の例がある。廣岡義隆「『うまさけ』攷」『上代言語動態論』(塙書房)。158うまさけ味酒廣岡義隆う1

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