テキスト内容 | 神威厳然としている国。山上憶良の「好去好来の歌」に、大和の国は「皇神の 厳しき国」(5-894)とある。『霊異記』下巻第10縁に「儼然」とあり、イツクシクシテと訓じている。894の「皇神」は、国土統治の神のことで、その神の威徳の厳しい国が、大和の国だというのである。神代紀上・第六段正文に、素戔嗚尊の言葉として「父母已に厳しき勅有れば、永に根国に就りなむとす」とある。素戔嗚尊の父母伊奘諾尊・伊奘冉尊による勅命である。その勅を「厳しき」というのであるから、天つ神の神威を背景にした言葉として取ることができる。また、常陸国風土記・久慈郡の賀ヒ[田+比]礼の高峰には、天つ神、立速男(一名、速経和気の命)が松の樹の八俣の上におり、その「神の祟、甚厳し」とある。祟りの激しいことを言うが、天つ神の神威が厳然としている様を受けての言葉である。894の大和の国を説明する「皇神の 厳しき国」と対になって「言霊の 幸はふ国と」とあり、神々の威徳が厳然としており、言霊が幸わい助けている国が大和の国なのだというのである。→<a href="http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_dsg&data_id=68537">ことだま〔言霊〕</a> |
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