あもる

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名あもる;天降
+項目名(旧かな)
+表記天降
TitleAmoru
テキスト内容天から地上に降りる。万葉集に6例みられる。類似の表現に「天くだり」が1例。そのうちの4例が、記紀の天孫降臨神話を背景とし、皇祖紳が地上支配を開始した神代を表現する例である。その他に柿本人麻呂の高市皇子殯宮挽歌(2-199)では、「和射見が原の行宮に天降りいまして」とあり、これは天武天皇の行幸を尊んで神話的に表現しているとされる。同様の例として神武記に、邇芸速日命が服従の意を表する場面で「天つ神御子天降り坐しぬ」とある。ただしこの「天つ神御子」については神武天皇とする説と邇々芸命とする説にわかている。記の「天降」の使用例は、その主体が天照大神に直接結びつく皇祖紳に限られ、他の神々が地上に降りる場合には使われないことから、限定的な使用意識がみられる。そこで、神武記でも単なる行幸の意を神話的に表現したものではなく、天孫降臨神話のふまえて天皇の行動があるという意識が想定されている。そうであるならば人麻呂歌についても、天皇の移動を述べたとするだけではすまされない(松本直樹「「天降」の意味ー『古事記』『萬葉集』におけるその思想と表現」『上代文学』第61号)。また、大伴家持が越中からの帰路において預作した宴席歌(19-4254)では、記紀の天孫降臨神話にはみられない船による天降が詠まれている。当然この問題は、各氏族のもつ始祖神の天降神話から皇祖紳の天孫降臨神話へという神話形成過程に言及することになる(及川智早「天降る神は天磐船に乗るかー大伴家持の降臨神話観念と天孫降臨神話ー」『帝塚山学院大学日本文学研究』第27号)。しかし、家持が何を意図して船の要素を取り入れたのかは明確にされていない。大伴氏の独自の伝承を想定したとして、それが「応詔」の場で主張されることの意味は重い。以上のほかに、枕詞として、「天の香具山」(3-257)とその異伝歌の「神の香具山」(3-260)にかかる「天降りつく」の例がある。これは逸文伊予国風土記などにみられる、香具山は天より降ってきた山とする伝承を背景とする用法とされる。大和三山の中で「天」が冠せられるのは香具山のみであり、特に神聖な山とされていたことが解る。これについては、「高天原」の模倣に特別な意識をみる考えもされている。
+執筆者加藤清
+参考文献
-68235402009/07/06hoshino.seiji00DSG000061あもる;天降Amoru天から地上に降りる。万葉集に6例みられる。類似の表現に「天くだり」が1例。そのうちの4例が、記紀の天孫降臨神話を背景とし、皇祖紳が地上支配を開始した神代を表現する例である。その他に柿本人麻呂の高市皇子殯宮挽歌(2-199)では、「和射見が原の行宮に天降りいまして」とあり、これは天武天皇の行幸を尊んで神話的に表現しているとされる。同様の例として神武記に、邇芸速日命が服従の意を表する場面で「天つ神御子天降り坐しぬ」とある。ただしこの「天つ神御子」については神武天皇とする説と邇々芸命とする説にわかている。記の「天降」の使用例は、その主体が天照大神に直接結びつく皇祖紳に限られ、他の神々が地上に降りる場合には使われないことから、限定的な使用意識がみられる。そこで、神武記でも単なる行幸の意を神話的に表現したものではなく、天孫降臨神話のふまえて天皇の行動があるという意識が想定されている。そうであるならば人麻呂歌についても、天皇の移動を述べたとするだけではすまされない(松本直樹「「天降」の意味ー『古事記』『萬葉集』におけるその思想と表現」『上代文学』第61号)。また、大伴家持が越中からの帰路において預作した宴席歌(19-4254)では、記紀の天孫降臨神話にはみられない船による天降が詠まれている。当然この問題は、各氏族のもつ始祖神の天降神話から皇祖紳の天孫降臨神話へという神話形成過程に言及することになる(及川智早「天降る神は天磐船に乗るかー大伴家持の降臨神話観念と天孫降臨神話ー」『帝塚山学院大学日本文学研究』第27号)。しかし、家持が何を意図して船の要素を取り入れたのかは明確にされていない。大伴氏の独自の伝承を想定したとして、それが「応詔」の場で主張されることの意味は重い。以上のほかに、枕詞として、「天の香具山」(3-257)とその異伝歌の「神の香具山」(3-260)にかかる「天降りつく」の例がある。これは逸文伊予国風土記などにみられる、香具山は天より降ってきた山とする伝承を背景とする用法とされる。大和三山の中で「天」が冠せられるのは香具山のみであり、特に神聖な山とされていたことが解る。これについては、「高天原」の模倣に特別な意識をみる考えもされている。62あもる天降加藤清あ1

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