テキスト内容 | 船体をべんがらで赤く塗った船をいう。官船の目印とか、船体の腐食を防ぐとか、装飾のためとも、魔を防ぐためともいう。万葉集には高市黒人の歌に「旅にしてもの恋しきに山下(やまもと)の赤のそほ船沖を漕ぐ見ゆ」(3-270)、作者未詳の歌に、「おしてる 難波の崎に 引き登る 赤のそほ舟」(13-3300)とある。ところで古代において船は死者の霊魂を運ぶものとも考えられていた。例えば天智天皇の挽歌に「かからむとかねて知りせば大御船泊てし泊まりに標結はましを」(2-151)「やすみししわご大君の大御船待ちか恋ふらむ志賀の唐崎」(2-152)というように天皇の魂をのせた大御船に標を結ってとどめるとか、その御船が来ることを待つというように表現される。考古学の成果によれば、船型の石棺等も見つかっており、こうした事実を考え合わせると、赤く塗った船が単なる運送用の道具として用いられていたのではなく、祭儀等何らかの用途をもって作られた舟であることがわかる。→<a href="http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_dsg&data_id=68183">あから〔赤ら〕</a> |
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