【解説】信西日本記鈔

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+解説信西日本紀鈔 伝藤原信西筆 [貴113]

〈外題〉ナシ
〈内題〉「日本紀鈔」
〈巻冊〉上下2巻1冊(合綴)
〈体裁〉袋綴(紙縒綴)
〈書写年代〉室町時代後期
〈表紙寸法〉縦26.3糎×横17.9糎
〈書入朱引・朱点あり。・貼紙〉
〈奥書〉ナシ
〈蔵書印〉ナシ
〈解題〉

藤原通憲[1106~1159]の講説を記録した『日本書紀』の注釈書。信西は通憲の法名であり、『本朝世紀』『法曹類林』などの著者としても知られる。本書巻頭にある「少納言入道作物」は信西を指す。通憲は康治2年(1143)、少納言に任ぜられ、翌年、出家して信西と称したことから、天養元年(1144)から平治の乱で自害するまでの15年間を本書の成立とみることができる。本書は僅か29丁であるが、『日本書紀』の注釈書としては「日本書紀私記」に次いで古く、諸本等は現存しない。類似する『日本書紀』の注釈は皆無で、語彙を抽出した辞書的性格を有している。異本として上賀茂神社三手文庫本『日本紀音義』が唯一あるのみである。 『本朝書籍目録外録』には『日本紀註 上下信西』とあり、『日本紀註』とも称され上下に分かれていたとされるが、それは本書の内題「日本紀鈔 上」、尾題「日本紀鈔 下」によっても示されている。本書には修補が認められ、その時に綴じ直しが行われ、現状のように上下冊を一冊として仕立て改めたと考えられる。

本文は上下六つの部立で構成される。
  上  天・地・草(木)・神・人
  下  雑(更に物部・所名・詞・鳥獣魚虫に分類されている)
 上下それぞれの始めに、各部を網羅した目録を立てて、次にその目録の語彙を部立の順を追って注釈する方法に拠っている。また目録の処々には番号を付しており、上下を通じて、305項目からなる。しかし、上巻122項目の末尾1項目の一部と、それに続く3項目が欠脱している。おそらく、上冊末の丁が脱落したと考えられる。語彙は、ほぼ『日本書紀』全巻を覆っているが、神代巻上下からの採取が多く、それ以外は各巻を通じて説話部分に関心を示していることが窺える。

本書は、鎌倉時代初期に成立した歌学書や真言宗・天台宗に関わる仏教書籍に逸文として引用されることから、成立した早い時期に、歌学・仏教界へ本書が伝わり利用されたことが窺われる。

〈影印・翻刻〉

・中村啓信『信西日本紀鈔とその研究』(高科書店 1990年)

〈参考〉

・太田晶二郎「上代に於ける日本書紀講究」(『本邦史学史論叢 上巻』 冨山房 1939年)

・岩橋小弥太「少納言入道信西」(『國學院雑誌』60(6) 1959年)
企画展アドレス1http://museum.kokugakuin.ac.jp/special_exhibition/detail/2021_nihonsyoki.html
+登録番号(図書館資料ID)貴 113
資料ID143913
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143912 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】信西日本記鈔 【解説】信西日本記鈔 貴 113 12 013 信西日本紀鈔 伝藤原信西筆 [貴113]

〈外題〉ナシ
〈内題〉「日本紀鈔」
〈巻冊〉上下2巻1冊(合綴)
〈体裁〉袋綴(紙縒綴)
〈書写年代〉室町時代後期
〈表紙寸法〉縦26.3糎×横17.9糎
〈書入朱引・朱点あり。・貼紙〉
〈奥書〉ナシ
〈蔵書印〉ナシ
〈解題〉

藤原通憲[1106~1159]の講説を記録した『日本書紀』の注釈書。信西は通憲の法名であり、『本朝世紀』『法曹類林』などの著者としても知られる。本書巻頭にある「少納言入道作物」は信西を指す。通憲は康治2年(1143)、少納言に任ぜられ、翌年、出家して信西と称したことから、天養元年(1144)から平治の乱で自害するまでの15年間を本書の成立とみることができる。本書は僅か29丁であるが、『日本書紀』の注釈書としては「日本書紀私記」に次いで古く、諸本等は現存しない。類似する『日本書紀』の注釈は皆無で、語彙を抽出した辞書的性格を有している。異本として上賀茂神社三手文庫本『日本紀音義』が唯一あるのみである。 『本朝書籍目録外録』には『日本紀註 上下信西』とあり、『日本紀註』とも称され上下に分かれていたとされるが、それは本書の内題「日本紀鈔 上」、尾題「日本紀鈔 下」によっても示されている。本書には修補が認められ、その時に綴じ直しが行われ、現状のように上下冊を一冊として仕立て改めたと考えられる。

本文は上下六つの部立で構成される。
  上  天・地・草(木)・神・人
  下  雑(更に物部・所名・詞・鳥獣魚虫に分類されている)
 上下それぞれの始めに、各部を網羅した目録を立てて、次にその目録の語彙を部立の順を追って注釈する方法に拠っている。また目録の処々には番号を付しており、上下を通じて、305項目からなる。しかし、上巻122項目の末尾1項目の一部と、それに続く3項目が欠脱している。おそらく、上冊末の丁が脱落したと考えられる。語彙は、ほぼ『日本書紀』全巻を覆っているが、神代巻上下からの採取が多く、それ以外は各巻を通じて説話部分に関心を示していることが窺える。

本書は、鎌倉時代初期に成立した歌学書や真言宗・天台宗に関わる仏教書籍に逸文として引用されることから、成立した早い時期に、歌学・仏教界へ本書が伝わり利用されたことが窺われる。

〈影印・翻刻〉

・中村啓信『信西日本紀鈔とその研究』(高科書店 1990年)

〈参考〉

・太田晶二郎「上代に於ける日本書紀講究」(『本邦史学史論叢 上巻』 冨山房 1939年)

・岩橋小弥太「少納言入道信西」(『國學院雑誌』60(6) 1959年) 1

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